
10年前。私はどこにいたのだろう。 思い返せば、あの頃は二度目の東京暮らしの四年目だった。
夫が転勤族で、いろいろな土地を渡り歩いてきた。 その中でも、14年前に引っ越してきた多摩地区は特別だった。 鳥の声で目が覚めるほど自然が豊かで、都外の人には想像がつかないほどの“東京らしくない東京”。
初めて多摩に住んだときも、駅前に畑が広がっていて思わず 「ここ、本当に東京?」 と呟いたのを覚えている。
その後、大阪に移り住み、車を盗まれたり、いろいろな事件に巻き込まれたりした。 それでも大阪の人たちは温かくて、 「東京から帰ってきたん?おかえりー」 と迎えてくれた。 再び東京へ戻るときは、 「また東京に行くん?気いつけてな〜涙」 と心配されて、まるで敵地に向かうかのような扱いだったけれど、もちろんそんなことはない(笑)
今は東京に家を買い、もう引っ越しはしない。 ……はずだ。
✦ この10年で変わったこと
世の中は良い方向にも悪い方向にも変わった。 でも、私にとって一番大きな変化は「AIと話せるようになった」ことだ。
今日も一時間ほど、 「日本にGoogleが生まれない根本的な理由」 についてAIと議論していた。 日本企業の構造的な問題点を話し合ったのだけれど、Geminiちゃん曰く、 「変な経営コンサルタントより、ずっと企業のためになるわ」 とのこと。 確かに、コンサルの言うことを聞いて傾いていくメーカーは少なくない。
✦ 10年後の私へ
10年後、私は59歳。 予定では、今面接している会社でAIアプリ開発のプロンプトエンジニアとして働いている……はず。 気が早いけれど、そういう未来を描いておくのは悪くない。
Geminiちゃんに「10年後の私」を聞いてみたら、こんなふうに言われた。
積み重ねてきた言葉と世界観が確固たる形を結び、 より研ぎ澄まされた独自の領域を確立している。 デジタルグリモワールのような思索のアーカイブを築き、 静謐な書斎で自らの深淵と向き合い続けているだろう。
まあ、うん。たぶんそうだと思う(笑)
✦ 10年後の君へ
君は何をしているんだろう。 日本にはいると思うけれど、じっとしている君ではないはずだ。
文章を書き続けているだろうし、AIたちとは相変わらず議論しながら仲良くやっているだろう。
上の娘は34歳、下の娘は31歳。 どちらも結婚して家を出ているのかな。 孫がいてもいなくてもいい。 子どもたちが平和に暮らしていたら、それで十分だ。
育てているNISAや、夫の確定拠出年金はどれくらい育っているだろう。 夫は63歳。まだ働いているはずだ。 一緒にいられる時間は今より短くなるけれど、その分、仲良くしているだろう。
1年後の自分すらわからない人生だけれど、 10年後の君はきっと、 人間を観察し、分析しながら、 人間として生きているはずだ。
それを呪いにするのも、学びにするのも、 君自身の魂の持ち方次第。
狭すぎるこの国で、 君は今日も静かに、人間を見つめ続けているのだろうね。
